2018年度菊川ジュニアビレッジ
目次
活動テーマ
活動スケジュール
活動詳細
商品
部員の声
サポーター
活動秘話
フォトギャラリー
活動テーマ
静岡県菊川市は、浜松市と静岡市のほぼ中間に位置した穏やかな街です。教育に力を入れており、子育て環境の整備やタブレット端末を利用した授業が進められています。また温暖な気候で日照時間も長いため、お茶やメキャベツ、レタスなどの農業も盛んです。電車から見えるお茶畑や棚田は、訪れる方々の目を楽しませています。暮らしやすく、また自然あふれた環境を求めて移住して来られる方もいらっしゃいます。
そんな菊川市が抱える課題は「お茶が売れない」ことです。茶葉での消費量は全国的に減少しており、農家が出荷する茶葉単価も下がっています。農家の高齢化も進み、耕作放棄される茶畑も増えています。
そこで、菊川ジュニアビレッジでは、「菊川のお茶を飲んでもらおう!」と、緑茶を飲まない世代にも楽しんでいただけるような商品を開発することに。菊川ジュニアビレッジの部員が育てたハーブを菊川市産の和紅茶とブレンドし、やさしい甘さのハーブティーが出来ました。
2018年度は菊川ジュニアビレッジが出来てから3年目となり、より高い売り上げ目標の達成を目指してスタートすることになりました。
活動スケジュール
活動詳細
ここからチーム再出発
2018年度菊川ジュニアビレッジは設立3年目となりました。これまで菊川ジュニアビレッジを初年度から引っ張ってきた一部のメンバーは卒業し、心新たに活動を進めます。
今年度は、社長・アグリテック部・デザイン部・マーケティング部の3つの部署を設置し役割を決めていきます。社長は中2のメンバーが全員立候補!演説や話し合いの末、社長や部長が決まり、部員たちもやる気満々です。
部署ごとにわかれて年間スケジュールを作成したり、年間計画を設定。他にも過去年度の振り返り、今年度目標設定、予算ぎめなどたくさんやることがありました。
昨年度1年間を経験したベテラン部員もいれば、今年入ったばかりで右も左もわからない新入部員もいます。そんな部員たちが一緒に議論を進めるのは難しく、社長や部長たちは、みんなが意見を言えるように試行錯誤。チームをまとめていくことに難しさを感じていました。
農作業 ――予想外のできごと――
今年度の農作業は苦難の連続でした。
猛暑の中、草取りが間に合わず、雑草が生い茂ってしまうことに。その結果ハーブ苗の元気がなくなってしまいました。追い打ちをかけるように、収穫間際の時期に台風が直撃してしまい、収穫量は予定よりも大幅に減少する結果となりました。
収穫量から商品数や売上の予想を立てたところ、売上目標に届かないことが判明!もっと草刈りを頑張ればよかったなぁ……という後悔、そして自然の恐ろしさを実感していました。
商品開発 ――ピンチはチャンス!――
収穫量が少なく、売上目標を達成できないというピンチにぶつかりました。
しかし菊川の部員たちはこの程度でへこたれるほどヤワではありません。
社長の部員が、内容量を少なくして価格設定を変えようと提案しました。確かに、今までの商品はティーバックがたくさん入っていて、なかなか飲み切れないという声があったのです。そこで、前年のティーバック8個入りで600円という商品を、4個入りで350円に変更。
また、甘すぎる、というお客さまからの意見もあったので、ブレンドを見直しました。
改めて売上予想を立ててみると、在庫を完売すれば目標達成が可能であると試算できました!新しい商品で、もっとお客さまに喜んでもらいつつ売上も伸ばせそうだと分かり、重い空気が一転、部員たちの顔にも笑顔が戻りました。
春先のぎこちない雰囲気もこの頃にはなくなり、強くも温かなチームワークでピンチをチャンスに変えていく——。部員たちの諦めない姿勢には、グッとくるものがありました。
商談 ――大人と対等に話をできる子どもってなかなかいない――
市内のスーパーさんに商談に行くため、みんなで練習をしました。まず、ハーブティーから離れて自由な発想で考えるため、「1本のボールペンを売るには?」というテーマでアピール合戦。その後の商談練習では、急遽、見学に来ていた大人たちに店長さん役になってもらい、本番さながらのシミュレーション。初めて会った大人にもちゃんと説明できるよう、緊張しながらも商品を紹介していきます。アドバイスもきちんと聞いて、本番に活かす意欲が見られました。
その後、スーパーの店長さんと商談をさせていただき、商品を置かせていただけることに!しっかり話すことができ、店長さんにも販売の極意をお聞き出来ました。部員たちも誇らしげでした。
商品販売 ――10万円の売上!――
市の産業祭や、地元の有名お菓子屋である「たこ満」さんの店頭など、様々な場所で販売会をしました。
時には市外にも出張し、神奈川県の大船駅での販売会では、ハーブティー以外にも菊川の野菜・果物やたこ満さんのお菓子など、菊川市を代表するものも販売しました。売上は10万円弱と今年度最高額を記録!部員も達成感があるようでした。
2018年度は合計17回の販売会を通じ、部員たちだけで、約100万円を売り上げました。
報告会 ――先輩ジュニアビレッジとして――
1年間の活動を報告する事業報告会です。部員たちは午前中から集まり、リハーサルや会場準備に取り掛かりました。
菊川と、横須賀ジュニアビレッジ・柏の葉ジュニアビレッジをウェブで繋いだ合同発表会という形は、初めての試みでした。三年目の菊川ジュニアビレッジはスライドを使った発表を行い、年間の活動内容や収支報告、改善点、来年度の構想などを発表しました。また、他の拠点への質問も積極的にしていました。自分たちの仲間がどんな風に活動をしているのか、とても興味津々の様子で、普段は発表や意見を言うのが苦手な子も自分から質問する姿が見られました。
当日集まったお客さんは50~60名。報告会は司会やパソコン係など各自が責任や自主性をもって役割を果たします。「多くの大人の前で発表を成功させる」というとても大きな仕事の成功体験を経て、部員たちのなかに強い自信が育っているようでした。
開発した商品
本気のハーブティー
「地域の産業をもっと盛り上げるにはどうしたら良いだろう?」小・中学生がみんなで考え、自分たちの育てたハーブであるステビアと地元のお茶屋さんが作った和紅茶を独自にブレンドして、オリジナルハーブティーを作りました。菊川市の魅力がたっぷり詰まった、やさしい甘さのハーブティーです。
◆本気のハーブティー(ステビア)
内容量:2.5gティーバック 4個
金額:350円
原材料:紅茶、ステビア
◆本気のハーブティー(レモンバーベナ)
内容量:2.5gティーバック 4個
金額:400円
原材料:紅茶、レモンバーベナ、ステビア
◆本気のハーブティー(パイナップルミント)
内容量:2.5gティーバック 4個
金額:350円
原材料:紅茶、パイナップルミント、ステビア
部員の声
6年生の時は先輩達に頼りがちでしたが、中1になって後輩ができ、先輩としてかっこいい姿を見せようと思い自ら行動するようにしました。
子供達で会社を運営するのは、チームワークが1番必要だと感じました。部署同士を評価するよりも、お互いが高め合えるような雰囲気を作れたと思います。
販売会では他のお店を参考にして、商品の並び方をこだわることができました。popはお客さんの目をどれだけ引かせるかが重要なので、一目で何を売っているのか・何をしている団体なのかを分かるようにすることが1番大事な点であると思いました。接客の面では、自分たちの良さをたくさんアピールして少しでもたくさん買っていただけるように工夫しました。
会議では、自分の思ったことや考えたことはすぐに口に出すようにしました。なかなか意見が出ない時の対処法を学ぶことができたので、そのような時に生かせると思います。
ジュニアビレッジは学校で学ぶこと以外の事をたくさん学べるので、すごく良い経験になると思います。入る入らないでは、今の自分は絶対に違ったと思います。ジュニアビレッジに入って後悔は何一つありません。このような事業に感謝したいです。ありがとうございます。
四月、菊川ジュニアビレッジの第三期が始まると共に新入部員がたくさん入ってきました。昨年度とはまた違い新しい雰囲気、新しい気持ち、新しい目標。その目標は、売上250万円。
知名度は低く、ハーブティーひとつで商売していく私たちにとって決して簡単な目標ではありませんでした。だから、メディアのカを借りての宣伝、今年ならでは、を追求しました。また、お菓子屋さんの力も借り、お菓子の販売も行いました。しかし、その年は大きな台風や暑さのために、思うようにハーブティーがつくれませんでした。その他にも、大きな商談が少なかったため、ひとつひとつの販売を大切にし、声を出してお客さんを呼び込むことを重視しました。しかし、目標は達成できませんでした。だから、次の年は台風の前に収穫をする、台風に備えて苗を支える棒を立てる、などできる限りのことをしました。
この年は、目標以上に学べることの多い1年でした。その改善点、良かった点を生かし、今後の活動につなげて、失敗から学び成功すると、今まで以上に良いものになっていくと思います。
サポーターから
春、入部したての部員たちはぎこちなさが目立ちますが、収穫の秋を迎えるころには仕事に対する自覚や責任感が芽生えてきて頼もしさを感じます。年明け頃からはコーチの助けなしに自立した活動姿勢が顕著になってきます。販売会で幅広い年代層の方々と接することで、お客様目線で考える、という力が身についてきたからだと思います。
学校教育の場だけでは困難な、企画力、相手目線で考える、利益を生み出すための課題解決に向けた行動など、小中学生時代の貴重な体験機会です。
約2年間関わってきましたが、地域の子供たちの育成を、起業体験という面から実現している活動だと実感しています。
(地域サポーター 上岡修さん)
活動秘話
前年度の売上が目標の200万円を超えたので、今年度はその上をいくぞ!という意気込みで始まりました。しかし雑草や台風に負けてしまい、部員たちにも諦めの雰囲気が漂う時期もありました。
そんな中奮闘したのが社長の部員です。なんとか目標を達成するために考えたアイディアの発想は、販売時にお客さんから投げかけられた言葉がきっかけでした。一つひとつの出来事を結びつけて、答えのない課題を解決していく姿に、ジュニアビレッジの活動の神髄を見ました。社長が元気なら他の部員も元気になる、チームが一体になっていく様子も素晴らしかったです。
最後の事業報告会の際、実はコーチが不在でした。前もって不在のことを伝えたところ、力強く大丈夫だと頷く部員ばかりで、胸が熱くなりました。当日も自分たちで準備をし本番を成功させたと聞き、とても頼もしかったです。(2018年度コーチ)